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材料選択の目安

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引張り強さ 降伏点・
耐力
硬度 比重 加工性 形状毎の市場流通
(記号の説明は下記を参照)
(N/ mm2) (N/ mm2) HV   被削性 溶接性 丸棒 角棒 六角棒 平角棒 平板 パイプ

鉄系

SS400 400 以上 引張り強度
の60%程度
115 以上 7.85 80 A  
SUM23 330-425 - 95-130 7.85 100 D      
S45C 550-630 330-450 170-195 7.85 70 C  
SCM435 620 以上 400 以上 195 以上 7.85 60 C    

ステンレス

SUS303 520 以上 250 以上 180-230 7.93 60 C        
SUS304 520 以上 250 以上 180-230 7.93 30 B  
SUS316 520 以上 250 以上 180-230 7.98 30 B      

アルミ

A1050 80-105 40-81 22-30 2.71 90 B      
A2011 380-405 295-310 120-130 2.82 180 E        
A2017 390-425 250-275 125-130 2.79 170 D        
A2024 485-490 345-380 145 2.77 160 D        
A5052 195-260 79-215 50-81 2.68 130 B        
A5056 245-299 98-230 75-95 2.64 150 B        
A5083 290 145 80-90 2.66 150 B          
A6061 300-320 275-280 95-105 2.70 150 C        
A6063 185 145 60 2.69 110 C    
A7075 510-570 440-490 160-170 2.80 150 D        
ANB79 530 460 165 2.85 170 D          
ANP89 575 525 180 2.90 150 D          

銅系

C1020 195 以上     8.94 60 C        
C2801 315-450     8.40 160 C      
C3604 335 以上   80 以上 8.50 200 D    
C5191 410-600   125-170 8.80 50 C        
C6191 385 以上   210 以上 7.60   D          
BC6         200        
※上記表の注
  1. 引張り強さ、および降伏点・耐力は調質のほか寸法形状によっても若干変化する。
  2. 被削性は単なる削り易さだけではなく、加工後の寸法精度や表面の仕上がりも評価基準にしている。(指数の基準はSUM22Lを100とし、数値が大きいほど良い)
  3. 溶接性は溶け込みだけでなく、溶接欠陥の発生の度合いや溶加棒の入手のしやすさなども評価基準にしている。
  4. 各数値ともJISハンドブックのデータを基にしているが、実測値と乖離がみられるものは適宜補正している。
  5. 「形状毎の市場流通」欄の記号の説明
    ★=標準的にお取扱するもの ○=条件によりお取扱できるもの △=市場流通あり 空欄=市場流通なし

SS400 汎用の鉄鋼材。構造用の鉄材としてもっとも一般的な品種。数値の400は引張り強度400N/mm2以上であることを示す。切削、溶接、曲げ全て適。熱処理による強度向上は望めない。
SUM23 切削性を良くするため、炭素鋼をベースに硫黄と鉛を添加した鋼種で、文字どおり「快く削れる」ことでは群を抜く。ただし、錆に対しては厳しく管理することが必要。というのも、硫黄の添加により耐衝撃性が犠牲になっていて、これによる折損の起点が錆であったという事例が多いため。
したがって、これに不安をおぼえる方には他の鋼種への代替をお勧めします。
S45C 炭素鋼の代表鋼種。φ20までは熱処理適、溶接難(適切な予熱処理が必要)
数値の45は含有炭素量0.45%前後を示す。
SCM 通称クロモリ。S45Cとの比較で、生材、熱処理品とも硬さ(引張強さと同義)は若干上回る程度だが、熱処理のさいにつまらないトラブルを起こしにくいので「ここ一番の部品」には適当な素材。φ25以上の太径材で本領を発揮。 
SK/SKS/SKH SK:工具鋼。熱処理によりHv750前後まで硬化できる。ただし工作機械の刃物として鉄を削ると瞬く間に硬度が落ち、それにならって切れ味も落ちる。
SKS:合金工具鋼。SKに比して熱処理時の変形をおさえる元素を添加した品種。シャーリングの刃に適。
SKH:高速度工具鋼。上記2品種に比して、焼戻し温度が400℃ほども高いため工作機械の刃物に用いて鉄を削っても硬度が低下しない。ただし、硬度は上記2品種と同等であるため、過信しないこと。
SUS303 18−8ステンレスの代表鋼種SUS304に比して切削性向上を狙って、本来「キラワレ者」である硫黄、りんを添加させた鋼種。
その切削性は304のネバリを経験した者を狂喜させるほどで、旋盤では低炭素鋼と同じ切り込み量、一段低い回転数でサクサクいけるため表面の仕上がりも抜群。
文献などには「耐食性に劣る」などと記しているため使用を躊躇してしまいますが、ベースが18-8であるためよほどアヤシイ酸でも付着しない限り表面処理なしでいけます。(海水中はNG)
SUS304 18−8ステンレスの代表鋼種。耐食性に優れ、研磨により非常に美しい光沢が得られることから装飾用としても重用されるが、切断、切削、曲げなどあらゆる加工で泣かされる。
SUS316 SUS304をベースにモリブデンを添加した品種。耐食性はSUS304よりも優れる。「反則技」で耐熱鋼の代役をつとめることもあり。
A1050 純アルミ。構造用としてはほとんどアテにならないものの、耐食性、熱伝導、導電性、成形性などに優れ、これらの特長を生かした使われ方をする。
A2011 鉛、ビスマスを添加した快削アルミ。といってもA2017などと比較してビックリするほど削りやすいわけでもなく、量産物をこなすNC機に対応することが多い。 
A2017 ジュラルミンの代表格。コストパフォーマンスが非常に高い。鉄鋼材;SS400にほぼ匹敵する硬さ(引張り強さと同義)で、一般的なアルミと異なりタップ加工後のヘリサートも不要、工作機械での削りやすさも群を抜く反面、溶接不適、他のアルミよりちと腐食しやすいなどの落とし穴もあり。
A2024 超ジュラルミン。物理特性はA2017より上だが、コストパフォーマンスはずいぶん劣る。なぜかアメリカでもてはやされる。
A5052 汎用のアルミ合金。安価、耐食性が良く、溶接可。ただし切削加工にはやや軟らかすぎ、寸法精度の厳しい加工には不向き。
A5056 アルミ合金丸棒のうち最も汎用性の高い材料。A5052よりも硬く切削性が良いうえ、耐食性およびアルマイト処理性にもすぐれる。ジュラルミンと異なり溶接にも適する。ただし、万能ゆえ若干価格面で難あり。
A5083 硬さは汎用のアルミ合金(A6063,A5052)を一段上まわり、軽負荷であればタップ加工後のヘリサート不要。
とくに溶接性にすぐれ、耐食性、強度とも良く、軟らかすぎないので切削加工したさいの寸法精度も良い。成形性はA5052に劣る。
A6061 強度と耐食性を両立させた品種。鍛造用としても活躍。ただし、高価。過酷な使用条件に耐えるため、軍隊用の備品に使われる例が目を引く。
A6063 アルミサッシなどでおなじみの品種。構造用としての特性はあまり期待できないが、耐食性、成形性にすぐれ非常に広範な適用例がある。型材のバリエーションの広さに驚くばかり。
A7075 高力アルミの代名詞:超超ジュラルミン。航空機、レーシングカーなどの根幹を支えてきた珠玉。物理特性のバランスが良く、長い間頂点に君臨してきたのも納得。ただし、アルマイトはほとんど不可能で、防食に悩む。
ANB79 A7075の代替として使われることが多い品種。いわば「快削超超ジュラルミン」。引張り強さの数値とは裏腹に小型の工作機械でも容易に切削できる。加工に伴うひずみが非常に小さく、精度をもとめる部品に適する。
ANP89 旧ブリティッシュ・アルミニウム・プレート社が威信をかけて開発した超超アルミ合金。合金鋼にせまる引張り強さを示す。引張り強さもさることながら、特筆すべきはその耐力(0.2%変形にいたる応力)で、A2017の2.7倍、A7075の1.35倍にも達する。
加工時の熱ひずみには注意が必要→思いのほか切削性が良いからといって、調子に乗らないこと。
C1020 無酸素銅:純銅。水素脆性に優れ、重電の導電板などに使われる。機械構造用としてはメリットなし。
C2801 真鍮:六四黄銅。強度と展延性のバランスに優れる古典的な逸品。電気配線の部品から馬具、はては甲冑と適用範囲の広さには驚かされる。
C3604 快削真鍮。鉛を微量添加していて、真鍮の中でもひときわ切削性の良い品種。優れた物理特性もさることながら、磨きあげたときの美しさは価格から想像するレベルをはるかに超える。
C5191 りん青銅。コネクタでよく見かける品種。強度も高く、耐食、耐疲労、耐磨耗といずれの性質優れるが、板物の圧延方向には要注意:誤るといつの間にかクラックが入る。高価だがベリリウムはこの点で良い。
C6191 アルミニウム青銅、アームスブロンズ。強いバネ性を利した使い方をされることが多い。船屋が好んで使う。強度も高く、耐摩耗、耐食も優れる。が、それだけに高価。
BC6 砲金(鋳造)バルブコックでよく見かける品種。耐圧・耐摩耗性に優れ、軸受にも広く使われてきた。被削性の良さを利して規格外の「異形軸受」を手っ取り早く作るさいにはうってつけ。

 ステンレス表面仕上りの一覧

  • 酸洗:熱間圧延の後、酸で洗ったもの。
  • ピーリング :酸洗の表層を落した状態。
  • 引抜き 金型(:ダイス)で引抜いて製造。表面は光沢あり。
  • センタレス :センターレス(無芯):グラインディング(研磨)の略。外観はもとより、精度・真円度に優れる。

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